安里川ファンクラブ
 安里川の魚【在来魚1】

オオクチユゴイ(方言名:ミキユー) スズキ目ユゴイ科

 

 沖縄県の河川を紹介する書籍では「清流の魚」として紹介されているが、水質の向上により渓流部で多く見かけるようになった。
 気温が下がると海へと下る両側回遊魚として知られるが、一部は渓流部に残る(久米島の会員ぼびぃさん情報による)。

 適度な水温と酸素を好む魚で、由来である「湯鯉」が示すとおり、寒さも嫌いだが熱さにも弱く、涼しく酸素が多く供給される、渓流部のちょっとした滝やせきの近くで多く見られる。
 海外ではゲームフィッシュとして知られ、沖縄県内でもルアー釣りで人気が出ている。
 非常に賢い魚で、釣りではスレるのが早く、1ポイント概ね3キャストで勝負が決まる。
 飼育では人に慣れると何でも食べたが、特に好物の「刺身」には鋭い反応を示し、特定の言葉に反応する、非常に賢い姿も観察できた。

オオウナギ  ウナギ目

 一般に食するウナギとは別種で、熱帯系の大型ウナギである。最大20kgにも成長する。
 味は一般的なウナギに劣るとされている。

 夜行性だが市民に餌付けされていて、昼間浮いてくる様子も観察できた。
 安里川では水質の向上とともに見られるようになったが、2009年の夏に大量のオオウナギのみが大量死する事件があった。
 専門家らの調査によると一時的な酸欠による窒息とされたそうだが、他の魚が死んでいなかったなどが伝えられ、結論に疑問が残る。

ヒラアジ類(方言名ガーラ:ロウニンアジ、ギンガメアジ、オニヒラアジ) スズキ目アジ科

   

 本来海の魚であるが、汽水域からギンガメアジ、オニヒラアジ幼魚については淡水にも強く渓流部にいたるまで見られる。
 ただし、浸透圧等の関係で純淡水での飼育は難しいようで、2週間が限界のようだ。
 安里川での最上流確認は、首里寒川町のコンビニエンスストア裏。

 ロウニンアジはGTと呼ばれるゲームフィッシュで、70kg以上に成長する。ギンガメアジ、オニヒラアジは小型で最大10kg程度。
 安里川内には時折5kg程度のロウニンアジも入ることがあるが、「メッキ」と呼ばれる40cm以下の固体がほとんどである。
 河川内では主にドロクイ類の幼魚を捕食している姿が観察でき、渓流ではテラピアの稚魚やグッピーなども捕食している。

 魚類学者の間ではヒラアジ類は分類が難しい魚とされているが、釣りをしていると顔つきで概ね判断できるようになる。
 (ロウニンアジはあごが強く、目が大きいギンガメアジ、バキュームにも対応するオニヒラアジは口が伸びるなど)

ゴマフエダイ(方言名:カースビー) スズキ目フエダイ科


2011年9月頃 さいおんスクエアにて

 英名で「マングローブジャック(マングローブスナッパー・ドッグブリームなど別名もある)」と呼ばれる魚で、大きな個体は10kg以上に成長する。
 その名が示すとおり汽水域に多く見られるが、10kgに達するような大型は、沖縄の河川構造上海側に多い(川が小さく浅い)。
 何が何でもマングローブ林周辺に生息しているわけではなく、ちょっとした岩や地形の変化、時には捨てられた粗大ゴミの周辺でエサを待ち構えている。

 かつて安里川では多く見られたが、浚渫工事の影響やベイト(エサとなる生き物)の減少、釣りすぎなどの影響か、数がかなり減っている。

ミナミクロダイ(方言名:チン) スズキ目タイ科

 
2011年9月・11月 さいおんスクエアにて

 釣りの対象魚として沖縄県内でも特に人気がある魚である。
 何でも食べる魚なので、条件を呼んで釣りをしないとなかなか釣れない。
 安里川では特に「さいおんスクエア」周辺の護岸沿いで多く見られ、都会の真ん中で幼魚が育っている。
 ミナミクロダイのほか、大型になるオーストラリアキチヌ(またはオーストラリア型ミナミクロダイ)も生息している。

オオメジロザメ メジロザメ目メジロザメ科

 

 安里川の食物連鎖の頂点に立つ魚で、主に梅雨明け以降から肌寒くなる10月後半頃に見られる(2月に目撃したこともある)。
 完全な淡水に適応できるサメであり、人食いサメの一種としても知られる。小型の個体は人を襲う危険はほとんどないとされている。
 安里川では1.07m、9kgまでの記録があるが、隣接する安謝川では18kgのオオメジロザメが釣り上げられている。河川の幅によっては、さらに大型が入っているものと思われる。
 方言で「シロナカー」と呼ばれ、安里川ではヒレが見えるというよりも、サメ全体白っぽく見えることが多い。
 最上流での目撃情報は、国際通りに隣接するさいおんスクエア付近で、潮位の影響を受け、ある程度水深があるエリアであれば上がってくる。

ドロクイ類(方言名:アシチン) ニシン目

 安里川に多くの海の魚、特に小魚を主食とする肉食魚が多く入る理由は、小魚が豊富なためである。
 一般的にボラ類やテラピア類がエサになっていると考えられがちであるが、リュウキュウドロクイをはじめとするドロクイ類の存在は大きい。
 ニシン目に属する魚は群れを作ることが多く、また、ウロコが剥がれやすい、骨がやわらかいなどの特徴を持っており、自然界では重要なエサになっていると考えられる。
 安里川では、群れの中でぶつかり合って脱落したドロクイ類がヒラアジ類(ガーラ)に捕食され、ボイル(水面で激しいしぶきを上げながら捕食を行う様子)が発生する様子が夏から秋にかけてよく見られる。
 「ドロクイ」の名が示すように、海底の泥内に潜む小さな生き物やプランクトン(浮遊生物)をエサとしている。腹部に泥が溜まっていることが多いが、寿司ネタになるコハダ(コノシロ)の仲間であり、美味な魚である。

 目視ではボイルを含め、2000年頃まで多く見られたが、年々目撃数や群れの規模が減っている。
 河川改修工事やサメの増加などの影響を受けていると考えられ、安里川ファンクラブの調査対象になっている。(2011年、さいおんスクエア周辺の整備が完了し、目視、ボイルともに増えつつある)。

コトヒキ(方言名:クワガナー) スズキ目

 美しい帯状のラインと、ウキブクロを使い「グエグエ」と鳴く姿から「琴弾き」と呼ばれるようになったらしい。
 ヤカタイサキとも呼ばれる。
 淡水に強く、小型の個体は淡水域まで上がり、50cm近くに成長する。
 身がしっかりした美味な魚で、しっかりした胴体と尾からトルクとスピードのあるファイトを楽しめる、知られざる釣魚である。

 「スケールイーター(ウロコ食い)」として知られ、魚のウロコや体表についた寄生虫を食べる。コトヒキの近縁種(シマイサキだったかな?)を使い、養殖魚の寄生虫防除を行う研究もされている。
 小さな口で体よりも大きなルアーを追い回すのも、スケールイーターの特徴と考えられ、浅瀬に集まるボラ類の群れがいっせいに跳ねるときは、ヒラアジ類(ガーラ)よりもコトヒキによる現象である場合が多い。

クロホシマンジュウダイ

 
2011年7月 さいおんスクエアにて撮影したクロホシマンジュウダイの群れ